「船長も俺も、大丈夫だ。見た目は酷いが、致命傷じゃない…」

「すみません……あの時、私が出て行ったりしなければ…」

ギルバートの前に立ちはだかったことを詫びているのだろうか。

ヒースコートは静かに首を振った。

「アイリーンのせいじゃないさ。俺達の、ミスだ」

「ですが…」

納得しない彼女に意外な声がかかった。


「あんま、気にすんな…お嬢さんよ」


ダリウスだった。


「ダリウスさん…」

「誰も、テメーのせいとか思ってねぇし…。ウゼーから、メソメソすんな」

アイリーンを思っての彼なりの言葉だろう。

「はい」

理解して頷けば、背後からヴィンセントの怒鳴り声が飛んできた。

「あんたね!言葉遣いに気をつけなさいよ!?」

「お兄様…!やめて下さい!私は大丈夫ですから」