海賊王子ヒースコート



 気を失っている間に海軍の商船へ乗せられたアイリーン。

目覚めた彼女は今、与えられた個室で兄のヴィンセント、それから婚約者ギルバートと向かい合っていた。

「ギルバート様、お兄様。大切なお話があります」

アイリーンの身体を心配する兄や、殴ってしまったことを詫びるギルバートの言葉を聞いてから、アイリーンは徐に切り出した。

「何かしら?」

優しく問うヴィンセント。

ギルバートも興味深そうな眼差しを向ける。

そして…。


「私、好きな方がいるのです。彼の名前はヒースコートさん」


二人の目が見開かれた。


「私はヒースさんと一緒になりたい…。ですから、申し訳ありません。婚約を解消していただけないでしょうか」


言い終えたアイリーンは椅子に座った状態で深々と頭を下げた。