しかし、弾丸が発射されることはなかった。
理由は、戦闘シーンには似つかわしくない鈴の音のような愛らしい声が聞こえたから。
「ヒースさん!!ギルバート様!!」
ハァハァと息を切らせてアイリーンが飛び込んできた。
「アイリーン!来るな!」
「アイリーン嬢!」
驚き目を見開くギルバートの前に立ちはだかるアイリーン。
「ギルバート様、やめて下さい!これ以上、酷いことをなさらないで…!」
「アイリーン嬢…」
涙目で訴える婚約者をギルバートは苦しげな眼差しで見つめた。
そして…。
「すみません…」
謝罪と同時にアイリーンの腹に彼の拳が入る。
「っあ…!!」
腹を殴られたアイリーンは呆気なく意識を失った。
崩れる彼女の身体をギルバートが抱き留める。
「あ、アイリーン…!!貴様ぁああ!!!!!!」
逆上したヒースコートは容赦なくギルバートの頭部目掛けて射撃した。
何発か頬に掠るも、ギルバートはアイリーンを抱いたまま急所を狙う弾を避け、さらに拳銃を構える。
そしてついに。
「うっ、あ…!!」
ギルバートの発砲した銃弾がヒースコートの脇腹に命中した。
ダリウス同様、地に倒れ込むヒースコート。
(く、そっ…!!アイ…リーン…!)
薄れゆく意識の中でギルバートの「二匹め」と言う声が聞こえた。



