海賊王子ヒースコート





 太陽が沈む空の下、夕闇の濃さで深みを増した海面から生まれる波が、岸壁に打ち付けられ水しぶきを上げる。

「船長、マジでこっから行くんすか?」


高く険しい崖の下にご自慢の船、ブラックエンジェル号をつけた海賊団。


「なんか文句あるのか?ロディ」


戦闘よりも料理が得意な二十歳のロディは、自分の尊敬する船長に睨まれ慌てて首を横に振った。


「いいや、文句はないけど…。オレ、この絶壁を登りきれる自信ないです…」


自分の体力のなさに苦笑い。

すると、仲の良いレイバンがロディの頭をポンと叩いた。


「ロディは飯でも作って待ってろ。ここはオレが…」


「行くぜ」と格好よく言おうとした彼だったが、刃物の切っ先のような船長の声に阻まれた。


「待て、レイバン。お前とヒースコートは正面から入れ」