しかも肝心の男の子のことすら、よく覚えていない。 ――アイリーンが大きくなったら迎えにくるから 記憶に残っていることは、彼のその言葉だけ。 (子供心に嬉しかったのを覚えてる…。あの金髪の男の子…確か、名前は…) 「リース、だったかしら?それとも…ニウス?」 それすら曖昧で。 しかも自分はもうすぐ婚約し、結婚する身で。 (まだ、夢に見ているのかしら。あの男の子が私に会いに来てくれるって) 箱入りのお嬢様が見る、笑ってしまうほど可愛くて甘い夢。 「現実を、見なきゃ…」