海賊王子ヒースコート



 早朝独特のヒンヤリとした空気。

それを頭が冴えると感じるか、単に寒いと感じるかは人それぞれ。

どうやらギルバートは前者、リチャードは後者らしい。

「うう~、ブルブル!朝だから冷え込みますね~」

まだ人通りの少ない町のメインストリートをのろのろ歩きながら、肩を縮こませる眼鏡の少佐。

一方でギルバートは寒さなど微塵も感じないといった様子で堂々と歩道を闊歩している。

「なんか、ギルが黒いコート着てるとさ、軍人ていうより殺し屋みたいだよね」

「……そんなに死にたいか」

「イヤだな~!違いますって!褒めてるんですよ~。ギル、カッコイイ!」

「無駄口叩いてないで仕事をしろ」

普段と変わらないリチャードのよく回る口に呆れつつ、ギルバートはきつい眼差しで周囲を観察した。