海賊王子ヒースコート


「アイリーン、寝たんじゃなかったのか」

「はい……ですが、寝付けなくて…」

苦笑するアイリーンを見て、ヒースコートは彼女の頭を優しく撫でた。

「何かあったのか…?」

さりげない問い掛けに、アイリーンはちょっと迷ってから徐に切り出した。

「ヒースさん」

「ん?」

「あの…私を一度、セルディスタへ帰してはいただけませんか?」

アイリーンを撫でていたヒースコートの手がピタリと止まる。

「皆さんが海軍に追われていることはわかっています。本国へ近づくのが危険だということも。ですが……帰って、正式に婚約を破棄したいのです」

家族や親戚、何よりギルバート本人に伝えたい。


「ヒースさんのお嫁さんに、なりたいから…」