海賊王子ヒースコート



 海賊船ブラックエンジェル号は、一般の漁船や旅客船が停泊する港から少し離れた、見通しの悪い岩場に停泊していた。

この国には海軍がないとは言え、あまり堂々と自分達の大事な船を港に置いておくものじゃない。

気にしない連中もいるが、クレマン海賊団は意外と用心深いのだ。


「あ、お帰りなさい」

船に戻ると、のほほんとしたエリオットがお出迎え。

癒しオーラ全開の彼に、キャンディスは大袈裟に泣きついた。

「エリオット~!朝まで付き合ってぇ!飲みまくるのよ~!」

「おやおや、どうしたの?また船長にイジメられた?」

優しく頭を撫でながら苦笑する。

「エリオット、船長からの伝言。まだ二、三日ここにいるから船出すな、だと」

レイバンとキャンディスの代わりにヒースコートが伝えると、エリオットは目を見張ってから納得したように頷いた。