海賊王子ヒースコート


この大人達の裏事情は、もちろん当事者である二人も知っている。


「でも、ギルは海軍大佐なんだから、別にわざわざアイリーン嬢と結婚しなくったって…すぐ出世して提督になっちゃえば親だって文句ないでしょ」


「ふっ…俺だけでは不安なのだろう。ロックウェルの名よりも軍においてはミルフォード家の方が強いからな。それに…」

「それに?」


おうむ返しに尋ねてきたリチャードに、ギルバートはしばし沈黙した後、素っ気なく言った。


「…いや、何でもない」

「なになに?気になりま~す」


「…ミルフォード家にとっても悪くない話だから、断る理由もないだろう」