レイバンに聞いても意味がなかった。 ヒースコートは悩みつつ席を立つ。 近くにあった酒ビンを片手に甲板へ。 出てみるとすでに日は沈み、視界には黒い海と濃い闇が広がった。 「ハァ…」 酒に口をつけながら、彼はボンヤリと天を仰ぐ。 「アイリーン…」 星が見えた。 (好きだ) もう一口、酒を飲む。 「ハッ…今さら、か」 力なく自嘲気味に笑うと、おもむろに歌い出す。 「人の子として生まれ…愛を知った」 波の音を伴奏に。 「生きる喜びを知り…悲しみを知った」