海賊王子ヒースコート




 ヒースコートの予想通りだった。

必死に逃げる海賊船の後ろに迫る海軍の軍艦。


「あれは…フォース帝国の軍か」


フォース帝国。

北方の大国で、陸軍・海軍のお偉い連中が政治を動かしている軍事国家だ。


「ボリスの奴ら、またフォースに喧嘩売ったんだな」

溜息をつきつつヒースコートは考えた。


自分達の前方にいる彼らは針路をこちらに向けている。

ようするに、ボリス海賊団がこのまま進んでくるとブラックエンジェル号にぶつかる。

すると、確実にフォース帝国との戦闘に巻き込まれる。


「あいつら…俺達が加勢すると踏んでるな…」

なんせ、良きライバルであり同士だから。

フォース帝国というデカイ敵を前に加勢しないなんて、懐の深いクレマン海賊団のすることじゃない。