「ボケッとしてるけど海賊船にいてメソメソしてないアンタは偉いと思う」
褒められた。
思わぬことにアイリーンは目をしばたたかせる。
「だからさ、その…何が言いたいかっつーと…」
ハキハキした性格のキャンディスが言い淀んでいることに、アイリーンは首を傾げた。
「キャンディスさん…?」
するとキャンディスは、アイリーンの眼前にビシッと人差し指を突き出した。
「“さん”づけ禁止。それから敬語も無しで頼むわ。慣れてなくってさ」
「え?あの…?」
戸惑っていると、邪気のない表情で綺麗に微笑まれた。
「アンタが気に入ったの。女二人、仲良くやりましょう」
善意しか感じられない。
アイリーンは、彼女になら心許せるかもしれないと思った。
「はい!」
だからキャンディスと同じ、とびきりの笑顔で返事をする。
「違ーう!“うん”でしょうが!」
「あ…う、うん!」
この後、キャンディスから敬語無しのイマドキな言葉遣いを教わるアイリーンの姿が見られるようになったとか…。



