「〜人で遊ぶんじゃな〜い!!」

「ははは、ごめん、つい」

面白くて…とは口に出さないけれど、鳴海はクスクスと笑っていた。

「こいつは…」

鳴海から離れると、千歳は思い切り睨みつけた。



「いえね、真面目にここで、働かせてもらえませんか?」

鳴海は一通り笑いがおさまると、真面目にそう切り出した。

「…別に、悪かないけど…それより、せっかく自由の身なんだから、何かやりたい事はないの?」

「う〜ん、そうだね〜」

鳴海は考えながら、上着のポケットに手を入れた。

「あ、そうだ、一つあるよ」

ポケットからキーケースを取り出して、一本の鍵を抜き取ると千歳に見せた。

「これ何の鍵だか、覚えてる?」

「もちろん…私もまだ持ってるよ…」

千歳は懐かしげに、その鍵を見た。

それは…高校の屋上へと続く扉の鍵だった…

「学校に行こうと思うんだけど…千歳もどう?」

鳴海はイタズラっぽく笑って千歳を誘うと、昔と変わらない笑みで千歳は答えた。

「それは、いいね」



鳴海の止まっていた時が、この日を境に動き出した。

新しい時が刻まれて行く…

Fin