そのまま走り去っていったキミの背中を見ながら……


このまま帰していいのか?


もう10時を過ぎてんだぞ。


そんな思いが脳内を駆け巡り、慌てて追い掛けた。


そして、階段の手摺りから身を乗り出し……



「絢華っ!」


「送っていくよ」



でもキミは、それを拒否した。



泣いてた……


俺には見せまいと必死に隠しながら……


泣いていた――…




何が“嫌われたくない”だ。


何が“大切にしたい”だ。


結局俺が泣かしてんじゃねぇか。



この日俺の部屋には、一晩中太一の説教する声が響き渡っていた。