声にのせて


「慌てた声も優しそうな手も

あのときはありがとうございました」

雨は止んでいた

「知らなかった」

「あたしもです、噂通りのチャラ男じゃなくて

あたしを助けてくれた優しい人だったなんて」

いたずらっぽく笑う

「お礼がしたいです、でも止んじゃって

傘を貸すなんてできなくなっちゃいましたね」

彼女が空を見上げる

「あ、よければこれから

パフェ食べてから帰りませんか?

っていきなり誘うのも嫌ですね」

「い、やじゃない!」

「フフ、必死。じゃあいきましょ、

すっごく美味しいんですから!

あたしおごります」

「おごらなくていいから、君の名前を教えて」