声にのせて


雨の降る昇降口、屋根のギリギリで座り込む

ーピシャ

地を叩くように雨が落ちる

このキセツだ、寒くはねーだろうけど

この大雨はちょっとな…

サッカー部の練習じゃねーんだし…

目の前の水溜まりを眺めひとつため息をつく

なんで俺置き傘とかねーんだろ

「帰るか、」

いつまでも

そろそろ止むかとも思い雨宿りしていたが

弱まった雨がそれ以上止みそうにもなく

渋々立ち上がる

「…あのー」

後ろから聞こえる少し低いような心地よい音が

夏川の耳に届く。

振り返る先には

黒髪をキュッと一つに結う女の子が立っていた




ーこんな感じ