声にのせて


「…ずるい」

赤さを増す顔は春斗くんにも伝染したように

彼の顔をも赤く染める

「やばい、どきどきしてきちゃった」

「春斗くんが言い出したんじゃん」

そうだったと笑う口がだんだん近付いてきて

唇が触れた

降っていた雨はいつの間にか

その強さを弱めていた


触れた唇は 少し名残惜しそうに…

離れていく