声にのせて



「うるせー、

あ、俺いくね」

離れていく手を掴む

なに? 覗きこむ春斗くんの顔が近くて

あ、クッキー!!

クッキーを鞄から取り出した

「くれるのっ、うれしい

ありがとな、」


喜んだ表情を見る前に

春斗くんの顔が左耳に近づく

「一緒に帰ろ、

校門で待ってて チュ」

耳に唇が触れた

動揺していると汗の匂いは遠くなっていた