声にのせて


春斗くんはフェンスを乗り越える

「俺が来ればいいんだ」

と降りると

「佐竹ーー、おまえあそんでっと

試合出さねーぞ」

監督の怒鳴り声にクスクスと笑う部員たち

チェー、すねたようにグラウンドを見た

フフ、思わず汐里が笑うと

春斗くんは汐里の右手を握って

「俺、絶対出るから見ててっ」

いたずらをしたコのように笑った