意を決したようにそれでいて呟くような声で

たしかに言った

「…春斗くん?」

ーッ


負けだ、俺の負けだ

勝てないわ

なんで小首傾げるの

勝てる気がしない

「もう、わざとやってんの」

驚く目はそれを物語っていて

うん、知ってるよ

わざとじゃないんだよね

汐里に意地悪されたような気になった春斗は

汐里をそのまま抱き締めた