《歩? 今、どこに居るの?》
「あ、真希? 今バイト終わったとこ。今からダッシュで帰…」
《信じらんないっ!》
帰るから。そう言おうとした時には真希の声が重なって、電話は切れてしまっていた。
はぁ!?
何、怒ってんの?
真希に掛け直すも、電源が落とされていて、どうにも出来ない。
取り合えず、携帯をかけながら、一旦家に戻る事にした。
家に戻りリビングに居た愛未を見つけ
「なぁ、愛未。真希来なかった?」
そう尋ねたら、愛未は驚いた顔で
「あんた、何してんの?」
逆に尋ねてきやがった。
今は俺が聞いてんだっつーの。
「だから、真希…」
「今日は真希とデートでしょう?」
「……は?」
「真希なら10時前に、あんたを迎えに来たよ?」
「……へ?」
「もしかして、下……。忘れてたとかいうオチじゃないよね?」
そう苦笑いする愛未に、同じく苦笑いする俺。
補足すると、忘れてたんじゃなくて。
聞いていなかったという“オチ”なんだけど。
「あんた、ばっかじゃないの!? 真希、すっごく楽しみにしてたよ、今日のこと」
まじか。
あん時の笑顔ってデートだったのか……。
「友達に下を紹介するんだって言ってたけど、どーすんの?」
は?
友達?
何だ、それ。
そんなの聞いてないぞ?

