「歩夢君、遅ーい!」

「あぁ、悪い」


そう叫んできたのは女子の皆様。


何だか、女子……気合入ってねぇか?


近所のカラオケボックスに学年全員が大集合。

3階部分を5時間も貸切したらしい。


「近所で、これだけの広さのあるカラオケってここしかないしさ」


そう言いながら適当な部屋に入ったツレの後に続く。

中を見渡すと、真希の姿はなかった。


取り合えず座り、オーダー。


どんどん運ばれてくる物を置く場所すらなくなるくらいの人数。

そしてカラオケもヒートアップ。


ドアのそばに居た俺は、いまいちノリきれずトイレへと席を立った。


3階部分は、パーティ用のデカイ部屋が3つと小部屋が3つ。

4クラスの俺達は無理矢理詰め込み、3つの部屋を行き来していた。


だから小部屋には誰も居ない、はず。


なのに、通り過ぎた小部屋に人影が見えた。


『今日は告白大会になりそうだな、俺も誰かに告白されねーかな♪』

なんてツレの言葉を思い出した。


なるほどな。
告白中って事か。

そう思いながらトイレへ入った。


トイレから出た俺が、またその小部屋前を通ろうとした瞬間、中から出て来た川口。


陸上部で、結構モテるらしい(とツレ情報)


「おー」


何となく気まづくマヌケな声をかけると、

『おぉ』

と言って背中を向けて行った。


……何か俺、睨まれなかった?
気のせいか?