「今日、告白されちゃった」


中学の卒業式が終わった後、何故か俺の部屋に居座って30分くらいして真希が突然言い出した。

俺は、DSをしながら『ふーん』と相槌をうつ。


「ちょっと! 他には何かないの?」


DSから目を離し顔をあげた。


「え? 別に……
 あ、何? 付き合うの?」


首を傾げた俺を見る真希の目が驚いたように見開き、


「歩の馬鹿っ!」

「あ、コラ、おまっ」


俺の手からタッチペンを取り投げ捨てた。


「知らない! 返事は今日の打上の時にするからっ!」


バタバタと大きな音と、

『お邪魔しましたぁ!』

大きな声が玄関から聞こえた。


タッチペンを拾い、DSをベットに投げ、頭をクシャクシャと掻いた。


「ちょっとー、下? 真希と喧嘩ー?」

「んっだよー。ノックくらいしろよ」

「何、色気づいてんのよ? 今日卒業したばっかなのに」


そう笑ってるのは、愛未。


最近は、俺の事も“歩夢”って名前で呼ぶ事も増えたが、チビ林下から“下”と呼ぶ事も増えた。

本人曰く、チビ林下は長いらしい。

なら、初めから呼ぶなっってーの。


「で、大丈夫なの、真希は?」

「知らね」

「知らねって、あんたねぇ~」


愛未に背中を向け、DSを拾ってベットに寝転んだ。


「真希だって不安なんじゃないの?
 同じ高校じゃないんだしさ?
 早く仲直りしなよー?」


そう言って部屋から出て行った。