「真希さ、俺のこと好きじゃねーんだよな?」

「……はっ!? な、何よ、突然」


ほら。
また、そんな顔する。


頬を赤くして、両手でその頬を包み込み、ちょっと下向き加減で俺を見つめるんだ。

そんな顔されたら俺のこと好きなんじゃねーかって思っちまうじゃん。


付き合うのが、わかんねーのは今も同じ。

だけどさ?

“好き”って言葉が大事なもんだって事には……さっき気が付いた。


昨日の事を見間違いだって言った真希にも。
俺の事、好きじゃないって言った真希にも。


すげー胸が痛くなったから。

俺が自惚れてたとか、ダサイとか、そんな事は関係なくて。


ただ単に胸が締め付けられるって言うの?

そんくらい痛かったんだ。


「さっき、好きじゃねーって言ったじゃん?」

「あ、あれは……」

「…あれは、何?」


俯いた真希の顔を覗き込むと、やっぱり真っ赤で。


やっぱり真希ってわかんねー。

てか他の男にも、こんな顔してんの?


だとしたら……かなり勘違い野郎が増えるんじゃねーか?