いや、今はそうじゃない。神崎が偶然ここに来たかもしれないじゃないか。
「神崎…分かったのか。暗号の意味が」
意味を聞いてみないとな
「は…い…はあ…丁度…はあ…昨日…正確な…はあ…答えが分かって…１週間考えて…」

余程長い距離を走ってきたのだろう。息も絶え絶えでなんとか喋ろうとしている神崎に１分程息を整える時間を与え、改めて聞いた。
「意味は分かったんだな?」

神崎は頷き、続けた。

「最初はいくら考えてもわからなかったんです。ですがふと時計の針を見たとき、あとね、という文字が時間を表していることが分かったんです。」


成る程。やはり普通に気付くことは無かったか。俺は少し安心した。

神崎は続けた。

「あとね、をローマ字になおすとatoneです。これは英語で"一時にﾞを表しています。あっていますか？」
ご名答。つまり今の時間を表した。そのつもりだった。

「ああ、あっているよ。」

神崎は安心したような顔になった。
「よかった。それで俺は他の平仮名もローマ字になおしてみたんです。」