「よーい始めっ」

理科の小椋先生の掛け声とともにテストがスタートした。

生徒達はそれぞれシャーペンを動かし始める。

その音は30分ほど教室に響いた後、徐々に止んでいった。

理科のテストなので早く終わるのも無理はない。
俺は窓の外の寒空をぼんやりと眺めた。

晴れ渡る空に浮かぶ雲を見ていたら少し眠くなってくる。
テスト中に寝るのは授業中とは違う危険性があるので名前の欄に書いた「神崎冬馬」という字を必死に睨み付けて頑張った。

それでも眠気には勝てないので問題用紙を隅々まで眺めることにした。

そして奇妙なものを見つけた。

「かげけーはんたいあとねじゅうごぶんのに」と隅に書いてあったのだ。

文といったら単語といったらいいのか分からないが、意味の分からない言葉ということは分かった。

どういう意味か考えている内にテストは終わってしまった。