母さんが残した小さな紙に書いてある地図を見ながら歩く。 ここか… “富田” チャイムを押す。 「新くん?」 優しそうな人。 「はい」 「よく来てくれたわね、さあ上がって」 「おじゃまします」 入りたくなかったこんな家。 あの親父が。 あの憎い親父が楽しそうに暮らしていただろうこの家。 吐き気がする。