「うん、わかった。」

そのときの笑顔は普通だった。
“彼氏”っていうのが禁句なのか?

「でも、まずはあずを呼んでからね。」

「はいはい。楽しみにしてるわ。」


足音とがやがやした声が近づいてくる。
黒木の声がするから確実にうちのクラスだろう。

「あー、そうそう。ごほうびだった。」

わざと思い出したようにいった。

「いーょ、律儀にそんな…」

「よくねーよ。いいから受け取っとけって。」

「ごほうびってなに?」

まずいな。正直に答えたら全力で拒否られるだろう。

「なにがいい?」

「いや、急に言われても…」

困ってる(笑)

「とくになにも浮かばねぇなら勝手に決めるわ。」

思いっきり引き寄せて肩に手を回した。

「ちょっと、」

抗われてももちろん無視。