早足で大股で歩いていたから、ちょっと焦りながらも必死でついてきてるのを背中に感じる。

掴んだ手が振り払われないのは
麗奈の優しさか、
そんな余裕すらないのか。


どっちにしてもついてきた時点で逃げ道はなくなったけど。


「ねぇっ、せめて、もうちょっとゆっくり歩いてっ…」


そうリクエストをもらって、しょうがないから少し歩調を緩めた。

「あー、ごめん。」


「どしたの?」

きいてくるけど、
「とりあえず、ついてくるさ。」
とだけ言って歩き続けた。


多分、“意味わかんない”って怪訝そうにしてるんだろうな。


想像すると、微笑ましかった。
だからこそ感じた、相反する感情。破壊の衝動。



………あぁ、泣かせたいなー。


その思考を認めたとき、悪趣味なのはわかってるけど
確かに、高揚したんだ。