あたしはその指を振り払った。



なんで・・・?


なんでそんなに優しくするの・・・?



あたしのなかの抑えきれない感情が渦を巻き、行き場のない想いはぐるぐると回っていた。



気付いたら、あたしは屋上から飛び出していた。



「美玖っ!!」


慶吾さんの耳が遠くに聞こえる。


走った。

止められない涙は、静かに落ちていった――。