「ここに置いて下さい」



軽く机の物をどかして出来たスペースにノートを置く。




「ありがとう。 重いのによく運んできてくれました」



言って、先生は引き出しの中から小さな包みを取り出した。


そして私の手をそっと掴むと、


「お礼です。 ナイショですよ」


口元に人差し指を添えて私に包みを握らせた。




「ありがとうございます…」



私がお礼を言うと、先生は「どういたしまして」と言って、そのままノートを広げ始めた。


……私はもう帰ってもいいのかな…?


帰ろうとドアに向かおうとした私に、


「姫野さんは部活しないんですか?」



先生が話しかけてきた。