「話、続けていいか?」
遠慮がちなお兄ちゃんに、わたしはやっぱり聞くのをやめようかと躊躇した。
だけどここまで聞いたんだ。最後まで聞くのが義理ってもんじゃないのかな、と思いわたしは話を続けるように言った。
「高崎高校はお前が想像するよりその、すごい高校だと思う。不良ばっかだから皆が皆いい奴らとは限らねぇし、2年前に共学になったばっかで、こんな治安の悪さだから女子は来ようとは思わない。友達の心配は十分にあると思う」
「うん、」
何でこんなに高崎高校の悪いところを聞かされなきゃいけないんだろう。
「正直、俺も可愛い妹のことを思って一度は戸惑ったよ」
わたしのことを思って?
戸惑った…??
「な、何を?」
正直、薄々勘付いていたんだと思う。
でも、わたしは信じたくなかったんだ。
「頼む蓬!高崎高校に入ってくれ!!!」
こう言われることを―…。


