「お前、もうすぐで高校受験だろ?」
「う、うん…!」
まさか、お兄ちゃんに勉強の心配をされる日がくるとは思わなかった。
『勉強してないとダメだろ!』とか怒られるのかなあ。
わたしは怒鳴り声を予想して少しだけ、受話器を耳から遠ざけた。
しーん…。
「……あれ?」
そんな心配はどうやら無用だったらしい。
恐る恐る受話器を耳に再度近づけた。
「お兄、ちゃん…?」
「どうした?いきなり返事しなくなったから電話口で倒れてたら…って、心配にしたよ」
「あ…うん。ごめん、なさい」
逆に心配までされて拍子抜けな気分。
お兄ちゃんは『じゃあ、話戻すぞ』と、言葉を続けた。


