「まもなく、東京、東京」 列車はあっという間に進んでいた。 「お父さん、迎えに来てるからね」 とお母さんは言った。 お父さん…。 話は聞いている。 本当のお父さんじゃない。 今日から"お父さんになる人" 本当のお父さんとは、あたしが産まれてすぐ別れたんだって。 お母さん再婚して、東京で暮らしてるんだって。 あたしは、 男の大人の人には免疫ないから、 少し不安だった。 東京に降り立つと、 凄く暑くてびっくりした。 「おかえり」 そう言って現れた、 あたしの "お父さんになる人"