「ふうーん、あなたが殺し屋さん」

想像したイメージとは、かなりかけ離れた男がそこにいた。

「ターゲットは私です」


男は別に驚いた表情は見せない。

「私を殺してほしいんです」

男は上目遣いでじっと見ている。
私は沈黙を嫌うように写真を差し出した。


「条件はただひとつ、この男の目の前で殺してほしいんです」

「そうか、」

男はやっと口を開いた。

「彼氏に看取られて死にたいってわけだな」

思わず涙があふれてくる。
あの人はそんな人じゃない。

きっと、抱きかかえようともしないだろう。

「ごめんなさい」

うまく言葉にできないもどかしさ。



「これが最後の恋だから」

そんなこと言ったって、わかってなんかもらえない。

「あの人の記憶から決して消えないように死にたいんです」