匂いは、家庭科室の方からだった。 ひょこっと窓から中を覗いてみると、誰かが必死になにかを作っていた。 「あれ…?」 可愛君だ。 イケメンで有名なとなりのクラスの可愛君が、必死にお菓子を作っていた。 …なんか、格好良いかも…? ジーッと見ていると、あたしの視線に気づいたのか、可愛君が急にこっちを向いた。 「!」 なぜか、隠れてしまった。 「…何してるの?」 でも、すぐにバレてしまった。