「あ、あのね可愛君!」 勇気を出して、可愛君に話しかける。 「あ、そうだ桜田さん。アドレス教えて?」 「あ、はい」 そう言うと、可愛君はポケットから携帯を取り出した。 「赤外線でいい?」 「も、もちろんです…!」 携帯を持つ手に、緊張が走る。 手汗は半端じゃないし、震えるし。 画面には、データ送信中の文字が表示されている。 「――…はい、交換完了。じゃ、あとで土曜日のこととか連絡するね?」 「あ、はい」