そして昨日あの男子を見掛けた桜の木の下の前で立ち止まる。

―今日は居ないな…そうだよね、二日連続同じ場所で会うなんてそんな奇跡ないよね―

そんな奇跡が少しはあるのかもしれないと思っていた自分をそう考える事で慰めた。

春の心地よいそよ風を浴びながら校舎の中へと足を進め教室の前に立ち扉を開ける。
すでに登校していた子達がちらっとあるいはじーっとこちらを見る。

「やだーやめなよー」
「だってさーあれはないっしょー？あははははっ！」どこからか大声が聞こえた。
ふとその声がする方を見ると三人組の女子が歪んだ笑顔でこちらを見ていた。
皆茶髪に細眉だ。

その三人組の近くに座っていた二人組の女子もその会話と笑い声につられてかクスクスヒソヒソと始める。