偽りの友情




不意に由香と目が合ってしまった。

「・・・・っ・・」

バッとそらしてしまった。

そんなやりとりに気付いたのか、音々がこちらを見た。

そして、何か考えたのか不気味な笑みを浮かばせた。

「あ~~!
 晴香じゃあん♪
 ちょーどいいところに!」

と言い由香の前に連れてこられた。


―何、されるんだろう・・・。

恐くて震えが止まらなかった。

すると音々が耳元で

「大丈夫だよ。
 そんなに震えなくても・・・(笑)
 私の言うとおりにしたら、
 何にもしないから。」

低い声で言い、思わずぞっとした。

「晴香も由香の事嫌いでしょ~??由香、なんかびしょ濡れだから拭いてあげれば?」
と、掃除用具の所のモップを指差した。


私は自分でも顔が青ざめていくのが分かった。

どうしよう・・・。


私が黙って立っていると、音々がすごい顔でこちらを睨みつけてきた。

はやくやれよと言ってるかのように・・・


ごめん由香!!

モップを手にとり、由香の顔にグイッっと押し付けた。

「はるか・・・?」

由香のか細い声が聞こえてきた。


「キャハハハ♪由香、親友だと思ってたのに裏切られちゃったねえ!まあ由香きもいししょうがないよ~」

音々はあざ笑うかのように由香を見た。


ごめんなさい、ごめんなさい!!

私はモップを放し、ダッシュで校門をでた。