自分で出した答えなのに言葉にするのをためらった。
言葉にした今でも唇は震えている。
手も…足も…。
小刻みに震えているのが分かる。
目の前に立っている那由汰は眉をひそめる。
怒っているのが分かった。
「…急にどうしたの」
「もう…決めたの」
那由汰が何を言おうと揺るがない。
好きだから…那由汰のことと別れようって決めた。
那由汰が納得できないのもわかる。
自分だってどこか別れたくないという気持ちがあるから。
「…ゆのさんに聞いたよ。フランスに留学するって…」
那由汰はその言葉に目を丸くする。
『…ゆののやつ』と唇を噛んでいた。
「…断ったよ。だから、希愛が心配することは…」
「本当は行きたいんだよね。でも、私のことを考えてくれたんだよね。
ごめんね…私、那由汰を……」
「…俺が決めたことだ」
那由汰はそっぽを向く。
話を終わらせたいのがわかる。

