二人の姿にやっと気がついた那由汰は、湖季に尋ねる。
「で、この二人は誰?」
「誰って…同じクラスの巴さんと花澤さん。お前、失礼すぎるぞ」
「っていうか…中庭で一回会ったんだけど」
律花がそう言うと、那由汰はじっと二人を見る。
交互に目を動かし、あぁと声を出す。
「そうえば会ったな」
「あたしが巴 律花、彼女は花澤 希愛よ。覚えてね、新入生代表さん」
棘のある口調で律花は話す。
だけど、那由汰には全く効いていなかった。
「…ん、覚えた」
小さな声で名前を連呼する。
その様子に律花は脱力した。
「嘉島くんもそうだけど、あなたも変」
「それ酷いな~」
と、湖季は苦笑する。
那由汰は「こいつには敵わない」と否定する。
もう…律花は二人に馴染んでいる。
その様子を見ているしかない希愛は出遅れたみたいで少し悲しかった。

