そして、ぼそっと呟いた。




「聞いた通り」




「…え?」




弓音のつぶやきを希愛は思わず聞き返した。
弓音はくすっと笑い、『ごめんなさい』と謝る。




「あなたのことは聞いてたの。なゆにピッタリ」




「聞いたって…?」




弓音は希愛から視線をそらし、那由汰に向けた。




「こっちに来る前に電話してて…その時に。…なゆの仕事のことも聞いたよ、無理してない?」




気づかような目が那由汰に注がれる。
那由汰は『大丈夫』と首を横に振った。



「弓弦さんの頼みだし」




「だから、それを無理してない?って聞いてるの。曲の提供なんてなゆの柄じゃないでしょ?」




弓音はどこまで知っているんだろう。
那由汰が優愛に曲を提供したことも知っている。