その笑みを見せた那由汰に、『そっか』と嬉しそうに微笑む。




「ところで…隣にいるのはなゆの友達?」




「嘉島 湖季です」




「よろしく。音羽 弓弦(おとはね ゆづる)です」




弓弦が差し出した手を湖季はおずおずと握る。




「えっと…音羽さんは那由汰とどこで知り合ったんですか?」




「弓弦でいいよ。こっちに来る前からなんだけど、妹となゆが仲が良かったんだ」




「…昔の話です」




と、那由汰が眉を潜ませる。
それを見て、弓弦は面白そうに笑う。




「なゆ、過去のことを話すのは嫌だから全然知らないだろ?でも、それは君を嫌ってるわけじゃない。
むしろ…好きなんだと思うよ。こんななゆを見たのは俺も初めてだし」




「弓弦さん」




それ以上話させるのを那由汰は拒む。
「ごめん」と弓弦は謝り、話すのをやめた。