希愛は女の子に深く頭を下げる。




「良かった。倒れたらどうしようって思ったの」




女の子は大きめの目を細ませ、笑みを浮かべた。
そして、女の子はすっと希愛の前に手を差しのべる。




「まだ…辛いでしょ?よかったらお茶でもどう?」




女の子の声はとても通っていて、力がこもったような音だった。
その容姿も綺麗で…芸能人のようだった。




希愛は何も考えず、すっとその手を取る。
すると女の子は嬉しそうに笑った。




「良かった。そうえば…まだ名乗ってなかったわね。私は藤花 優愛(とうか ゆあ)。あなたは?」




『花澤…希愛…です…』




戸惑いながら、希愛は手を動かした。
女の子は目を丸め、驚きながらもにっこりと笑みを見せた。




「希愛さん…ね。少し吃驚したけど…よろしくね」




優愛はとても優しかった。
話すことができない希愛に合わせて、ゆっくり話してくれた。




とても優しい優愛に触れて、希愛は心の内を打ち明けた。
さっき知り合ったばかりなのに迷惑だと思う。
なのに、優愛は希愛の話にずっと耳を傾けてくれていた。