「赤くなんなよ…バカ……」 なに俺にまで照れてるんだよ。 不意打ちに弱いのは俺も同じだな。 「じゃ、じゃあ、あたし行くねっ」 顔を隠すように姫は方向転換した。 けれども走り出す前に足が止まる。 「翼…」 「あ?」 「…やっぱり一つお願いごとしてもいい」 背を向けてうつむいている。 「なんだよ」 「…おまじない、してほしいなって」 「おまじない?」 「文化祭にしてくれたやつ」 記憶を遡っていく、劇の直前の舞台袖。 大丈夫って言われても やっぱり"好き"という言葉を伝えるには勇気がいる。