「1on1、5本先取で勝ちだ」 先にボールを持った翼が手元ドリブルし始める。 緊迫した空気の中、ボールをつく音だけが重苦しく響く。 翼が仕掛けた瞬間が勝負の始まり。 「行くぜ」 "たった1人の お姫様をかけて────" 翼の口元を緩ませ、ダンッとバッシュの音を響かせた。 すぐさま咲夜がディフェンスの体制に入る。 翼が突破しようとしてもそれを許さない。 何度も角度を変えて、前へ行かせない繊細な動き。 コートのサイドから、咲夜を抜くのは至難の業だ。