「どうしてそんなこと言うの?
あたし、バカだからわかんない。怒ってるならちゃんと言ってよ!」
必死に堪えて、視線を合わせ続ける。
「じゃあ遠慮なく言わせてもらうけどさあ……」
涙ぐむあたしを見て翼は口元を緩ませる。
そして……。
「………ひゃ!」
あたしの両手を掴んで背中を壁に押し付けた。
「……おまえがはっきりしねぇからだろ?」
怪しく目を光らせながら、見下ろしてくる。
「咲夜が好きなくせに、何俺にまで気使ってんの?」
「……そんなんじゃない」
涙で視界を歪ませたまま、翼を精一杯睨みつける。
気を使ってるんじゃない……
ただ………
「咲夜だけが
…大切なんじゃないよ」
翼のことだって……

