「ううん、あたしもすごく楽しかった」
つないだままの手は今もずっと、幸せをあたえ続けてくれる。
幼なじみじゃない、
恋人という距離。
「それならよかった」
いつもみたいなそっけない言葉。
咲夜は少女マンガに出てくるような男の子じゃない。
クールで無愛想で、ただのクラスメイトだったら遠くから見てて終わりだと思う。
神様がくれた幼なじみという関係があったから、
咲夜のいいところも好きなところもたくさん見つけれたんだよ…。
はじめに電車を降りた駅が見えてきて、今日も終わりなんだという寂しさを感じた。
それなのに…。
咲夜はその駅をチラッと見るとそのまま通り過ぎる。
「さ、咲夜……?」
今駅見たよね…?

