「……っえ?」
いきなり王子モードに切り替わる俺に、姫はとまどいを隠せないでいる。
王子といっても、中身は黒王子だけどな。
「早く次のセリフ言え。それで終わりだ。咲夜を待たせてるんだろ?」
「あ……」
俺の指さした時計を見た姫が青ざめる。
「やばいっ!時間過ぎてるっ!」
バタバタと姫は荷物を片付けはじめる。
最後のセリフ言えって言ってんのに…。
一つも聞いてやしねえ。
焦る姫を横目に、ためいきをついた。
"どうしよっ、やばいっ"とか言いやがって嫌味か。
咲夜がおまえに怒るわけないだろ?
むしろ朝まででも待ってんじゃねえの。
ほんと、むかついてしょうがねえな。

