家の最寄り駅を言って、そこまで向かってもらう。
静かに動き出した車は、そのまま道路に出た。
荒い息を抑えて、目を閉じる。
どんどん関節が痛くなる。
同じ体勢でいるのが辛くて、何度も体勢を変える。
喉の奥が燃える様に熱い。
小さく溜息を吐いて、苦しさを紛らわすために奥歯を噛みしめる。
それから、いくらか時間が過ぎた時。
突然、道路の脇に寄ってハザードランプを付けた櫻井さん。
え、何?
何事かと思って、運転席の櫻井さんに視線を向ける。
すると、急に自分のシートベルトを外して、櫻井さんは体をこっちに寄せてきた。
一気に近くなる私達の距離。
え!? 何!?
目を見開く私を余所に、私に覆い被さる様にして体を寄せる櫻井さん。
急な櫻井さんの行動に体が硬直した。
それでも、私の頭の下に手を入れたかと思ったら、それと同時にガコンと座席が後ろに倒れた。
え? と思った瞬間には仰向けに寝ていた。



